「パスタのまち高崎」は、どのくらいパスタの街なのか
高崎市の人口は約37万人。そこにパスタ専門店が約150軒あるといわれる。人口10万人あたりのイタリア料理店数では、東京都に次いで群馬県が全国2位という調査もある(3位は長野)。市の公式サイトも「人口当たりのパスタ店が全国的にも多いといわれる」と、控えめに、しかしはっきり書いている。
毎年11月には、市内の店が一堂に会して頂点を決める**「キングオブパスタ」という大会まで開かれる。2025年の第17回は18店が出場、来場者9,800人、総投票数4,544票**。地方のグルメイベントとしては、かなりの規模だ。
量も、よその街とは基準が違う。一般的なパスタ専門店の1人前は乾麺で100g前後とされるが、高崎では200gを超える店が珍しくない。市内には、Sが150g・Mが300g・Lが500gという三段階を用意している専門店もある。
そして、この街のパスタ文化を作ったとされる元祖の店の名物は——スパゲッティの上にとんかつを乗せ、その上から甘めのデミグラスソースをかけたものである。イタリアはどこへ行った。
この記事で分かること
前半はなぜ高崎がパスタの街になったのかという話。小麦、上州の粉食文化、1968年創業の1軒、そして17年続く大会。ここを押さえておくと、店で出てくる皿の意味が変わる。
後半は店の話。キングオブパスタの優勝歴と、量の文化と、駅からの距離という3つの軸で、高崎のパスタ店を4軒に絞った。元祖・初代王者・現王者・駅前の3冠店、という並びになっている。
それと、サイズの決め方。実用性でいえば、たぶんこれがいちばん役に立つ。
量が多い店を1軒避ければ済む、という話ではない。街ごと多い。だから旅程の組み方から変える必要がある。
1日3軒回るつもりで来ると、たいてい2軒目で終わる。
本記事は公開情報および口コミをもとに総合して構成した調査記事です。実際の味や体験には個人差があります。また一部の料理画像は、公開情報や口コミをもとに再現したイメージAI画像です。実際の店舗提供写真とは異なる場合があります。
価格・営業時間・定休日・住所は調査時点(2026年8月)に確認できた公開情報です。高崎のパスタ店は個人経営が多く、営業時間の変更・臨時休業・移転が起こりやすい傾向があります。情報源によって記載が食い違う項目は本文中に「要確認」と明記しました。訪問前に必ず公式情報でご確認ください。
結論|高崎のパスタ、目的別のおすすめ4店
選定基準|約150軒からどうやって4店に絞ったか
軸は3つ置いた。1つめはキングオブパスタの実績。2009年から17回続く大会で、来場者の投票だけで順位が決まる。審査員の好みではなく、その日会場に来た数千人がチケットを握って選んだ結果なので、「地元で支持されている」の指標としてはかなり素直だ。
2つめは系統がかぶらないこと。高崎のパスタは、元祖系の濃厚デミグラス、量で殴る専門店、地元食材を使う現代イタリアンと、方向がはっきり分かれている。同じ系統を3軒並べても比較にならない。
3つめはアクセスの分散。高崎のパスタ店は郊外のロードサイドに強い店が多く、駅前だけで探すと取りこぼす。逆に車がないと詰むので、4店のうち1軒は必ず駅から歩ける店にした。
その結果、シャンゴ(問屋町)、ボンジョルノ(筑縄町)、バンビーナ(中居町)、カーロ(連雀町)という配置になった。駅徒歩圏はカーロ1軒で、残り3軒は車が前提だと思っておいたほうがいい。
なお、この4軒がベスト4だと言い切るつもりはない。2025年大会で3位に入ったシルクロード 石原店(半世紀近い老舗。2024年7月にリニューアル)、2015年に優勝したラビッシュ(名物はハンバーグのせナポリタン)、2022年優勝のソリッソ、2011年優勝のアルコバレーノ——このあたりはどれも次点として最後まで残った。
約150軒の街で4軒に絞るというのは、そもそも無理のある作業である。ここは正直に書いておく。
エリア背景|高崎はなぜ「パスタの街」になったのか
前提として、群馬は小麦の国である。稲作の裏作として古くから小麦が作られ、県内には「おっきりこみ」「ひもかわうどん」「すいとん」「焼きまんじゅう」と、粉ものの郷土料理がずらりと並ぶ。赤城山から吹き下ろす「上州空っ風」の乾いた冬が、小麦の栽培に向いていたとされる。
生産量の全国順位は資料によって振れがある(2020年の作物統計で約22,200t・全国6位という数字もあれば、小麦粉の生産で北海道・福岡・佐賀に次ぐ4位という記述もある)。いずれにせよ、全国有数の産地という位置づけは一致している。
高崎の人にとって、茹でた小麦粉を主食にするのは外来の習慣ではない。うどんがあり、すいとんがあり、その並びにパスタが置かれた。たぶん、それだけの話だった。
だから量が多い。
ここは推測が混じるが、うどんを出す感覚で盛れば、ああなる。イタリア料理の一皿を作っているというより、主食を茶碗によそっているのに近い。
そして固有名詞の話。1968年、シャンゴというイタリア料理店が高崎市請地町に開業する。1972年に問屋町へ移転し、パスタの上にとんかつを乗せた「シャンゴ風スパゲッティ」を出したところ、これが街の名物になった。
重要なのはその先で、この店から巣立った料理人が市内に次々と自分の店を構えたとされる。1軒の店の暖簾分けが、街のパスタ店密度を押し上げた。高崎パスタは、農産物と1軒のレストランの掛け算でできている。
出発点が**「パスタにとんかつを乗せてデミグラスをかける」**だったというのが、じわじわ効いてくる。高崎パスタは一皿目からイタリアの外にいる。
本場に寄せる気がなかったので、あとが自由になった。ナポリタンも、和風だしも、スープパスタ(高崎発祥とされる)も、地元食材の創作モノも、全部「あり」の街になった。縛るものが、最初からなかった。
キングオブパスタ|1日で5皿食べる、高崎の11月
「キングオブパスタ」は2009年に始まった大会で、高崎市内でパスタを扱う店が出店し、来場者の投票だけで「高崎パスタキング」を決める。主催はキングオブパスタ実行委員会。会場は高崎駅から徒歩約10分の「もてなし広場」。
チケットの仕組みが独特で、前売全日券2,800円(当日3,000円)で5食分+投票券。つまり参加者は、1日でパスタを5皿食べることを前提に会場入りする。300gが標準の街の住民が、である。
規模も見ておきたい。第2回で約4,000人だった来場者は、2017年に約10,500人まで伸び、2025年の第17回は18店出場・来場9,800人・総投票4,544票。前年(2024年)の来場は約1万500人だったので、ここ数年は1万人前後で安定している。
2025年の結果は、1位バンビーナ中居店、2位洋麺亭高崎店、3位シルクロード石原店。バンビーナ中居店は大会史上初の3連覇を達成した。
出場店を眺めると、この大会の性格が分かる。2025年の18店には、老舗イタリアン(シャンゴ本店、ボンジョルノ本店、シルクロード石原店)に混じって、**山荘(はまゆう山荘)やファミレス系(いっちょう高崎中居店)、百貨店テナント(カーロ高崎髙島屋店)**まで並んでいた。
これは「イタリア料理店の大会」ではない。**「高崎でパスタを出している店の大会」**である。山荘まで出てくる。
この間口の広さが、17年続いた理由だろう。
- 開催時期:毎年11月ごろ(2026年は11月15日(日)を予定)
- 会場:もてなし広場(高崎市高松町1)/高崎駅から徒歩約10分
- チケット:前売全日2,800円・当日3,000円(5食分+投票券)/前売午後券2,500円
- 投票:投票券1枚につき1店舗。来場者の投票のみで順位が決まる
- 2025年実績:18店出場・来場9,800人・総投票4,544票
1. シャンゴ 問屋町本店(高崎市問屋町)|すべてはこの一皿から始まった
1968年、故・関﨑省一郎氏が高崎市請地町にイタリア料理店として開業。1972年に現在の問屋町へ本店を移し、そこで出した「シャンゴ風スパゲッティ」が街の名物になった——というのが、高崎パスタの公式な出発点になっている。
現在は市内外に系列店を持つが、「本店」といえばこの問屋町。座席57席、駐車場31台という郊外型の構えで、休日の昼は行列ができることも珍しくない。
キングオブパスタでも実績がある。第2回(2010年)と第4回(2012年)で優勝しており、2025年の第17回にも「シャンゴ本店」として出場している。元祖が現役で戦い続けている、というのがこの街の健全なところだ。
ちなみに大会側の資料では所在地が「高崎市問屋1」表記になっている。店の公開情報では「問屋町1-10-24」なので、同じ場所を指していると考えていい。
価格帯は、公開情報で確認できた範囲だとシャンゴ風のSサイズが869円(税込)前後、期間限定パスタが900円前後、セットメニューが1,280〜1,408円あたり。過去の記録には「790円(税別)」という数字も残っていて、じわじわ改定されているのが分かる。
麺量についてはSで150g、Mで200gという記述が見つかったが、資料によって振れがあるので要確認としておきたい。ただし方向としては「Sで足りる人が多い」側だ。
混雑については、口コミの傾向を読むかぎり土日の11:30〜13:30がピーク。開店直後か14時以降に着けると待ちは短くなりそうだ。高崎問屋町駅から徒歩15分という距離は、荷物があると地味に効く。
車で来る人が多い店なので、電車派は駅から歩く前提で組んだほうが読みを外さない。
「シャンゴ風」の味|甘いソースが、とんかつを丸ごと引き受ける
ここから先の味の話は、実際に食べた記録ではない。複数の口コミとレポート記事を突き合わせて再構成したものになる。表現に幅があるものは、幅があるまま書く。
まずソース。トマトベースの一般的なミートソースを想像すると、たぶん外す。ミートソースとデミグラスの中間にあたる濃厚なソースで、共通して指摘されるのが「甘い」こと。「焼きまんじゅうのタレを思わせるまったりした甘口」「デミグラスと八丁味噌を混ぜたような」という言い回しが、複数の書き手から出てくる。
その甘さを支えているのが、赤ワインを煮詰めたような洋食のほろ苦さだという声だ。甘いだけなら早々に飽きるところを、苦みが後ろから輪郭を引き締める。ウスターソースを思わせるフルーティーな香りが立つ、という感想も目立つ。
群馬の甘い粉もの文化と、洋食のデミグラスが、同じ皿の上で握手している。
麺はもちもち寄り。歯で切れるアルデンテというより、噛み返してくる太さと柔らかさの側にある、という記述が多い。粘度の高いソースを受け止める役なので、この方向は理にかなっている。
イタリア料理の基準で「茹ですぎでは」と評する人もいるが、この皿はイタリア料理ではなく高崎の洋食だと考えたほうが、話が早い。
そして主役のとんかつ。ジャンボサイズのカツが皿の上にどんと乗り、その上からソースがかかる。ここで甘いソースがとんかつソースの役割を兼任するのがこの一皿の設計で、だから合う。「意外と合う」ではなく、最初からそう作られている。
正しい食べ方は、カツを切ってソースをまとわせ、麺ごと持ち上げる。ただし「後半は飽きる」という正直な感想も一定数ある。濃厚・甘口が長距離走になる皿なので、量に自信がなければ迷わずSサイズを選びたい。
2. ボンジョルノ 本店(高崎市筑縄町)|初代王者は、麺300gとドリンクバーで待っている
1982年3月創業。キングオブパスタでは第1回(2009年)と第9回(2017年)の2度優勝しており、店側も「2度のグランプリを受賞」と明記している。**初代チャンピオンが、いまも現役で出続けている。**2025年の第17回にも「ボンジョルノ本店」として出場している。
この店の性格は、駐車場45台という数字にほぼ出ている。車で来る家族とグループを受け止めるための構えだ。
売りは分かりやすい。麺量300gが標準で、そこにドリンクバーが付く。夜の平均予算が1,000〜1,999円という記載を見るかぎり、コストパフォーマンスの面では4店の中でも上位に来る。
看板は、ハーブを与えて育てた地ポークを使ったパスタ。地元食材を主役に据える路線は、キングオブパスタで評価されるメニューの典型でもある。
注意点として、住所と定休日の情報が資料によって食い違う。住所は「高崎市筑縄町50-1」が複数の情報源で一致しているが、グルメサイトの一部に「下小鳥町65」表記のページも存在する。系列の別店舗と混ざっている可能性が高い。予約や地図検索の際は店名+「本店」で確認したほうが安全だ。
定休日も「木曜のみ」「木曜+第2・第4水曜」の両方の記載がある。ここは要確認としておく。
混雑については、駐車場45台という受け皿の大きさもあって、行列で入れないという声は比較的少ない。ただし休日の昼と、夕食どきの家族連れが重なる時間帯は読めない。
11:00から21:30まで通し営業なので、中途半端な時間に行けるのが最大の武器。14時台や16時台に空腹を抱えた旅行者にとって、これはかなりありがたい。
ボンジョルノの味|300gを最後まで走らせるための設計
以下も食べた人の言葉からの再構成になる。複数のレビューで共通して出てくる要素だけを拾った。
まずベース。濃厚一辺倒ではなく、トマト系・クリーム系・和風系が揃った幅のあるメニュー構成で、方向を客が選べるようになっている。300gを完食させる店にとって、これは必然の設計だ。一皿の味が強すぎると、後半で走れなくなる。
調味の役割で効いているのが、地ポークの脂と塩気。ハーブで育てた豚という素材を主役に置くと、ソースは素材を消さない方向に寄る。ここで濃いデミグラス系に振らないのが、シャンゴとの決定的な違いになっている。
同じ「高崎パスタ」でも、元祖系は洋食寄り、ボンジョルノはイタリアン寄り。これを頭に入れておくと、店選びで迷わない。
麺は300g。これがどういう体積かというと、一般的なパスタ専門店の3人前に相当する。フォークで巻き取っても巻き取っても減らない、という感覚は高崎あるあるとして語られる。
量が多い皿は、後半に「味の逃げ道」があるかどうかで印象が決まる。ドリンクバーが付いているのは、実はこの逃げ道の確保としてよくできている。
この店で守るべきことがひとつある。300gを1人で完走しようとしない。
グループで何皿か頼んで、系統の違うソースを回して食べる。それが正しい使い方だろう。
1人で行くなら、素直にサイズを落とせるか確認したい。高崎の店は量の相談に慣れているので、頼めばたいてい何とかなる。
3. トラットリア・バンビーナ 中居店(高崎市中居町)|大会史上初の3連覇、いま最強の店
2025年11月9日、第17回キングオブパスタで優勝。前年、前々年に続く3連覇は大会史上初である。日本経済新聞や東京新聞でも報じられた。
系列を含めると、2018年・2019年にも「バンビーナ」名義で優勝している。ただし大会記録上の店名表記が「バンビーナ」と「バンビーナ中居店」で揺れており、通算優勝回数の数え方は資料によって差がある。ここは要確認としておくが、少なくとも現在の高崎で最も勝っている店であることは間違いない。
3連覇を決めた2025年の出品作が「ネギしゃぶパスタ」。塩こうじで味付けした上州麦豚と、和風だしを組み合わせた一皿だ。
名前だけ聞くと、しゃぶしゃぶである。イタリアの気配が一切ない。
だが高崎の大会で3年連続勝っている以上、この街ではこれがパスタだと受け入れるほかない。元祖がとんかつを乗せた街なのだから、筋は通っている。
アクセスはこの4店の中で最も厳しい。JR八高線・倉賀野駅から徒歩約30分という表記で、要するに電車で行く店ではない。高崎駅から車かタクシーを想定しておきたい。
営業は昼夜二部制で、中休みが15:00〜17:30。通し営業ではないので、旅程を組むときはここを外さないように。
入店のコツとしては、大会直後(11月下旬〜年末)は優勝メニュー目当ての客で混みやすいと考えたほうがいい。優勝メニューは大会後に店舗で提供されるのが高崎の慣例で、これが目当ての来店が集中する。
逆にいえば、優勝メニューを狙うなら大会後、静かに食べたいなら大会シーズンを外す。この二択になる。
バンビーナの味|和風だしが、パスタの上で成立する理由
ここも実際に食べた記録ではない。報道と口コミを突き合わせて書いている。優勝メニューの構成要素が公開されているぶん、他店より輪郭は掴みやすい。
ベースは和風だし。イタリアンの文脈だと異物に聞こえるが、群馬の粉食文化——うどん、おっきりこみ——を前提に置くと、話が変わる。この街の人にとって、だしで小麦を食べるのは母語である。 パスタに和風だしを合わせるのは、外国語というより方言に近い。
調味の役割を担うのが塩こうじ。豚肉を塩こうじで下味付けすると、塩気が入ると同時に、こうじの酵素がたんぱく質を分解して肉が柔らかくなり、うまみが増える。だしの繊細さを、肉の側から底上げする配置になっている。
濃いソースで押し切るのではなく、だしと発酵調味料で厚みを作る。この方向性が3年連続で票を集めたという事実は、高崎の味覚がいま向かっている先を示していると思う。
主役の素材は上州麦豚。群馬のブランド豚で、しゃぶしゃぶ状に薄く火を入れることで、脂が重くならない。300g文化の街で「重くない一皿」を出してくる判断は、大会向けとしてかなり戦略的だ。
1日5皿食べるイベントで票を取るには、5皿目でも入る味である必要がある。3連覇の理由の何割かは、たぶんここにある。
締めはネギ。しゃぶしゃぶ+ネギという組み合わせは日本人の身体に完全に入っているので、初見でも迷わない。ネギの甘みと香りが、だしの平坦さを断ち切る役を担う。
店の通常メニューはトラットリア形式のイタリアンで、優勝メニューはそこに接ぎ木される形。通常メニューと優勝メニューの両方が頼めるタイミングが、この店の狙い目になる。
4. Restaurant Cafe CARO(高崎市連雀町)|高崎駅から歩いて行ける、通算3度の優勝店
キングオブパスタでは第6回(2014年)、第12回(2020年)、第13回(2021年)の通算3度優勝している。バンビーナと並ぶ最多優勝クラスの店だ。
そして4店の中で唯一、高崎駅西口から徒歩約8分。西口を北へ進み、高島屋交差点を左折して300mほど。電車で高崎に来て、車がない人にとっては事実上ここが第一候補になる。
2021年の優勝メニューが「2つの食感の赤城鶏と高崎産カリカリ梅の海苔クリーム」。読むだけで方向性が分かる。赤城鶏、高崎産のカリカリ梅、海苔——地元食材の名前が3つ並んで、そこにクリームが乗る。
キングオブパスタで勝つ店には、はっきりした共通項がある。イタリアの再現度で票は動かない。群馬の食材をどう組むかで動く。
通常メニューはパスタ20種で1,078〜1,298円、ピザ6種で968〜1,118円という価格帯。ランチはプラス330円で前菜・サラダ・パン・ドリンク付きのセットにできる、という情報がある。予算帯は1,000〜3,000円で、4店の中では中〜上位。
席数31席(ソファー15・テーブル16)と小ぶりで、郊外型のロードサイド店とは客席の性格が違う。落ち着いて食べたい場面向きだ。
注意点が2つ。まず営業時間の情報が食い違う。公式サイトには「18:00〜24:00(L.O.23:00)」、グルメサイトには「11:30〜15:00/17:30〜翌0:30」という記載があり、ランチ営業の有無は日によって変わる可能性がある。昼に狙うなら電話確認が確実。
もう1つはカード不可との情報と、ディナー時の席料1人400円。現金を持っていくのが安全だ。
なお、系列に高崎タカシマヤ店(高崎市旭町)がある。2025年のキングオブパスタに出場したのはこちらの高島屋店で、開業時には1日100人以上が並んだと報じられている。
本店(連雀町)と高島屋店ではメニュー・価格・営業時間が異なる可能性があるので、口コミを読むときは店舗名を必ず確認したい。ここを混同すると、営業時間の食い違いが余計にややこしくなる。
カーロの味|地元食材を、クリームで一本にまとめる
味の話は、優勝メニューの公開情報と口コミを突き合わせたものになる。
ベースはクリーム。ただし単なる生クリームではなく、海苔を溶かし込んだクリームという組み方をしてくる。海苔の磯の香りとクリームの乳脂肪は、どちらも「香りが強くて主張する」タイプなのに、ぶつからずに一本になる。和風パスタの定番に海苔がある理由と同じ理屈だ。
調味の役割を担うのが高崎産のカリカリ梅。ここが設計の要になっている。クリームは重い。海苔も重い。そこに酸と塩気と、噛んだときの音を持つ梅を入れると、皿の後半が軽くなる。
途中で足す「味変」の類ではない。重さを解体する部品として、最初から梅が置いてある。 3度優勝する店は、こういう組み方をする。
主役の素材は赤城鶏を「2つの食感」で。同じ食材を火入れ違いで2種類入れる手法で、一皿の中に質感のコントラストが生まれる。柔らかい部分と、歯ごたえのある部分。単調さを避ける手としては、かなり確実なやり方である。
量で押す店が並ぶ街で、この店だけ構成で押している。
ひとつ提案すると、梅は最初に潰さないほうがいい。潰してしまうと最初から酸が全体に回って、クリームのふくらみが痩せる。前半はクリームと海苔と鶏で進み、後半に梅を崩して着地させる。
駅から歩ける、夜遅くまで開いている、雰囲気が落ち着いている——「高崎でパスタを食べた」という話を、量の話にしないで持ち帰りたい人に向く1軒だ。
高崎パスタ4店の比較|量・価格・アクセスで整理する
- シャンゴ 問屋町本店|元祖・洋食系デミグラス/S 869円前後/高崎問屋町駅 徒歩15分・駐車31台
- ボンジョルノ 本店|イタリアン・麺300g+ドリンクバー/夜1,000〜1,999円/北高崎駅・駐車45台
- バンビーナ 中居店|地元食材の創作パスタ・3連覇/1,000〜2,500円/倉賀野駅 徒歩30分・車前提
- Restaurant Cafe CARO|地産地消・構成で見せる/パスタ1,078〜1,298円/高崎駅西口 徒歩8分
値段を並べてみる。シャンゴ風がSサイズで869円、カーロのパスタが1,078〜1,298円、ボンジョルノの夜の平均予算が1,000〜1,999円。判で押したように1,000円前後へ集まる。
これを「良心的ですね」で片付けると、たぶん話を取り違える。隣に1,000円で300g出す店があるのに、100gを1,500円で出して勝てるわけがない、というだけのことだ。高崎のパスタ屋は全員、同じ檻の中にいる。
つまりこの街では、「安くて多い」が売り文句にならない。全員やっているので。
味の方向は、わりときれいに分かれている。シャンゴは洋食のデミグラス。バンビーナとカーロは、赤城鶏や上州麦豚といった群馬の食材を組み立てる現代イタリアン。ボンジョルノはその中間あたりで、量とドリンクバーを積んでくる。
同じ市内の、同じ「パスタ」という名前の料理である。50年でここまで散った。
初めて来るなら、シャンゴともう1軒。とんかつとデミグラスを食べた口で赤城鶏のパスタを食べると、この街が何をしてきたのか1日でつかめる。順番を逆にすると、たぶんシャンゴで面食らって終わる。
目的別の選び方|迷ったらここから決める
観光で来ているなら、シャンゴでいい。1968年開業、名物は今も現役、大会でも2回勝っている。経歴に穴がない。
そして運ばれてきた皿の上には、とんかつが乗っている。「パスタのまち」を名乗る市の、その出発点がこれである。食べる前に、たぶん写真を撮る手が先に動く。
勝ち星で選ぶなら、バンビーナ中居店とカーロの二択。3連覇中の現王者と、通算3度の優勝店だ。どちらも群馬の食材の使い方で票を集めてきた。
ただ、この二択は味では決まらない。バンビーナ中居店は最寄りの倉賀野駅から徒歩30分、カーロは高崎駅西口から徒歩8分。車があるかどうかで、勝手に片方に決まる。
腹を空かせて来た日は、ボンジョルノ。麺300g、夜の予算1,000〜1,999円、ドリンクバー付き、駐車場45台。数字を並べるだけで、だいたい伝わると思う。
念のため書いておくと、この300gは大盛りではない。標準である。
高崎パスタを1日で回るモデルコースと予算
電車派の動線はシンプルで、高崎駅を起点にカーロ(西口徒歩8分)で1軒。そのあと車かタクシーで問屋町方面のシャンゴ、という形が現実的だ。高崎問屋町駅はJR上越線で高崎駅から1駅なので、電車+徒歩15分でも到達できる。
車派なら、**問屋町(シャンゴ)→筑縄町(ボンジョルノ)→中居町(バンビーナ)**が地理的に組みやすい。ただし全部を1日で回るのは、量を考えると現実的ではない。
予算の目安は、1軒あたり1,000〜1,500円。2軒で3,000円前後、飲み物やセットを付けても1日4,000円あれば足りる。都市部の同水準のイタリアンと比べると、量あたりの単価は明確に安い。
駐車場は4店のうち3店が郊外型で、シャンゴ31台、ボンジョルノ45台と余裕がある。車で回る前提の街だと考えておくと計画が楽になる。
現実的なペースでいうと、1日2軒あたりが目安になる。高崎のSはよその街の並盛りに近いので、1軒目をSにしてもそれなりに入る。サイズを上げれば、2軒目の余地はその分だけ減る。
キングオブパスタで5皿食べる人たちは、そういう身体をしている。同じつもりで挑むと、もてなし広場で立ち尽くすことになる。
高崎でパスタを食べるときの注意点
高崎パスタのよくある質問
高崎のパスタについて、よく検索される質問
まとめ|高崎のパスタは「イタリア料理」だと思って行くと外す
高崎のパスタは、イタリア料理の顔をした群馬の粉もの料理だ。とんかつが乗り、和風だしが使われ、300gが標準で出てくる。本場への忠実さを競う気は、この街にはない。
だからイタリアンの基準で採点しに行くと、たぶん噛み合わない。うどんを食べに行くつもりで行くと、全部つながる。
1軒だけ選ぶなら、シャンゴ 問屋町本店を推す。味の好みは分かれるし、「甘すぎる」「後半飽きる」という正直な感想も一定数ある。それでもこの街の起点であり、パスタの上にとんかつを乗せるという判断がなければ、いまの高崎はない。
好き嫌いは、その次でいい。まず見ておく価値のある一皿である。
2軒目には、バンビーナ中居店かカーロを。元祖の濃厚なデミグラスと、地元食材を組み立てた現代のパスタ。この2つを同じ日に食べると、高崎が50年で歩いた距離が分かる。
そして、どの店でもいいのでサイズ表記を一度よく見てほしい。「M=300g(2人前)」と書いてある店が、この街には普通にある。キングオブパスタで1日5皿食べられる理由が、メニューの1行に書いてある。